本サイトは東京都によるグローバルダイニング社に対する営業時間短縮命令の違憲・違法性を主張する訴訟に関する公式サイトです。同時に、本訴訟を入り口に“コロナ禍”の日本社会で政治・行政による政策は「法的に」いかに考え検証されるべきかの総合的視座を提供するプラットフォームです。
本訴訟の経過及び弁護団の問題提起を通じて、有事に垣間見えた我が国の「自由」や「法の支配」の脆弱性と、今後の権利実践への課題と希望を発信します。
1978年生まれ。中学・高校をフランス・パリの現地校で過ごし、東京大学法学部卒業後、弁護士登録。再度、渡仏し、パリ第2大学法学部でビジネスローを学び、パリ弁護士会登録。日仏の資格を持つ数少ない弁護士として、フランスにかかわる企業法務全般及び訴訟案件を手掛ける。2013年より慶應義塾大学法科大学院でフランス公法(憲法)を教える。2013年、フランス国家功労賞シュバリエを受勲。
私たちは、発信を理由に狙い打ちで命令を出されたことに対し、表現の自由や法の下の平等という権利が侵害されたことを中心に戦ってきました。
東京都が出した命令は違法であった、ということを裁判所が認定してくれた点については、うれしく思います。
とはいえ今回の判決にはまったく納得ができません。
本裁判で、東京都の不正やずさんさが明らかになったと思っています。
控訴審こそ小池都知事への尋問を求め、また、上記の点もしっかりと主張してまいります。
特措法の解釈はもちろんコロナ対策としても合理性がない東京都による時短命令が違法であるとの判断は、有事であっても譲れない自由や法の支配の一線を死守したという意味で大変評価できるものです。「命令が違法」という司法からのメッセージによって行政や自治体のコロナ政策が規律され顧みられるところまでが法の支配の終着駅です。
違法にもかかわらず請求棄却という結論部分は残念ですが、これは日本の行政裁判の構造的欠陥自体によるものです。裁判システム改革の議論のきっかけにもしていきたいと思っています。
都知事自身の認識を証人尋問で問うことなく注意義務違反はないとした判決には不服ですので、控訴審では、是非都知事や専門家の認識を法廷の場で伺いたいと思います。
弁護団からの依頼を受けて執筆した意見書の末尾に、私は次のように記しました。
裁判所が、緊急時においても「法の支配」を貫徹できるか、緊急時においても個人の自由を擁護するという役割を果たすことができるかが問われている。それが「できる」と示してくれることを、裁判所には強く期待する。
今回、東京地裁は、東京都がグローバルダイニング社に対して出した時短命令は、特措法45条3項の「特に必要があると認めるとき」に該当せず違法であると判断しました。この問題の社会的重要性を十分に認識して、異例ともいえるスピードで判決を下したこと、そして裁判所は行政の判断を追認するだけの機関ではないということを示したことは、高く評価したいと思います。
もちろん、都知事の注意義務違反を認めないとした部分など、判決には納得できない部分もあります。ここでは1点だけ指摘しておきます。
判決は、特措法45条3項の「特に必要があると認めるとき」に該当するには、「当該施設管理者に対する必要最小限の措置であり、そのような不利益処分を課すことが感染防止対策としてやむを得ないというに足りる高度の必要性があることが求められる」という原告の主張について、「特に必要があると認めるとき」の要件を「非常に厳格に解している点で……採用し難い」と退けました。
しかし、特措法5条は、「国民の自由と権利が尊重されるべきことに鑑み、新型インフルエンザ等対策を実施する場合において、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型インフルエンザ等対策を実施するため必要最小限のものでなければならない」と定めています。
特措法に5条のような内容の規定が設けられていることを大切にし、その「必要最小限」の要請を、特措法45条3項の「特に必要があると認めるとき」に該当するかを判断する際に考慮するのであれば、原告が主張したように、「高度の必要性があることが求められる」と解するのが自然かつ妥当な解釈ではないでしょうか?
今回の地裁判断に対しては、控訴しないということも訴訟戦略上は十分あり得る選択肢でした。しかし長谷川耕造社長と弁護団の先生方は、果敢にも日本社会のために戦い続けるという困難な道を選択しました。私も微力ながら、今後の戦いをサポートしていきたいと思います。
横大道聡先生の提出いただいた意見書は、こちらからお読みいただけます。
色々な意味でバランスを取ろうとした判決でした。
命令は違法だとして原告を実質的に勝訴させつつ、やや苦しい理屈によって国家賠償請求は否定して都の面目にも配慮しています。
また、命令は違法とする一方で、行政のコロナ対策の裁量は認めています。すなわち、わざわざ憲法判断に立ち入って特措法の規定や命令は合憲であるとお墨付きを与えた上、飲食店にフォーカスするコロナ対策も容認しています。その結果、今後も、飲食店への施策を柱とするコロナ対策を繰り返すことは認められることになります。
ただ、要請を超えて命令を行うためには、個々の店舗の状況を考慮する必要性があるとした点は、安易な命令発出に釘を差した格好です。
ところで、都は実質敗訴したわけですが、形式的には勝訴ですので控訴することができず、原告が控訴したことによって、この重要な事件について高裁の判断が得られることになったのは、今後の参考とするためには有意義なことと言えるかもしれません。
あまり注目されていませんが、この事件以外にも各地で複数の同種訴訟が提起されているようで、今回の判決は大いに参考にされるでしょう。今回の判決の理屈で言えば、命令の違法性が認められるかどうかは個別事情によることになります。
曽我部先生に提出いただいた意見書は、こちらからお読みいただけます。
グローバルダイニング社東京地判令和4年5月16日寸評
「新型コロナ対策の法政策的処方せん」
阿部泰隆
購入はこちら
>2022.5.16
グローバルダイニング訴訟判決結果が出ました。長谷川社長と倉持弁護団長のコメント、判決文はこちらからご覧いただけます。
>2022.5.16
サイトをオープンしました。
甲第13号証:「新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等について(令和3年1月7日発表)」と題する記事
甲第14号証:「新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等について(令和3年2月2日発表)」と題する記事
甲第15号証:「新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等について(令和3年3月5日発表)」と題する記事
甲第17号証:「新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づく施設の使用制限(営業時間短縮)の要請について(協力依頼)」と題する通知書
甲第18号証:「新型インフル新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第2項に基づく施設の使用制限(営業時間短縮)の要請について(事前通知)」と題する通知書
甲第19号証:「新型インフル新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第2項に基づく施設の使用制限(営業時間短縮)の要請について」と題する通知書
甲第22号証:「新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第3項に基づく施設の使用制限の命令について(事前通知)」と題する通知書
甲第24号証:「(第1791報)新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第3項に基づく施設の使用制限の命令を行った施設について」と題する記事
甲第25号証:「新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第3項に基づく施設の使用制限の命令を行った施設について(第1808報)」と題する記事
甲第27号証:「緊急事態宣言の発令に関して,グローバルダイニング代表・長谷川の考え方(2021年1月7日現在)」と題する記事
甲第37号証:「東京都の重傷病床、基準見直しで使用率大幅減 ステージ3相当に」と題する記事(令和3年3月2日日本経済新聞)
甲第43号証の3:「新型コロナウィルス感染症発生下における医療提供体制及び検査体制の現場に関する御認知について(回答)」と題する回答書
甲第54号証:「2度目の緊急事態宣言がCOVID-19感染拡大速度に与えた影響に関する研究」と題する論文(「実験政策学第7巻1号)
甲第65号証:「感染症対策と両立する社会経済活動の継続に向けて- 新型コロナウイルス感染症対策に関する新内閣への提言-【参考資料・データ集】」と題する資料・データ集
甲第67号証:「特集 統治と専門家 新型コロナ対策から見る日本の憲政」「総括コメント」と題する記事(法律時報2120年93巻12号からの抜粋)
甲第70号証:「コロナ自粛についての検証結果:自粛がCOVID-19感染抑制に寄与しているという仮説は統計学的に否定された」と題する講演資料
甲第74号証:「新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第2項に基づく要請について」と題する通知書(令和3年4月28日)
甲第75号証:「新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第2項に基づく要請について」と題する通知書(令和3年5月12日)
甲第77号証:「(第2039報)新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第3項に基づく施設の使用制限の命令を行った施設について」と題する記事
訴訟資料はありません。 There is no materials.
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A:緊急事態宣言終了間近になされた東京都の原告に対するいわゆる時短命令が、”狙い撃ち”等の理由により営業の事由や法の下の平等を侵害し違憲・違法であるとする訴訟です。
A:飲食店の方々だけでなく、広くコロナ禍での不公平な権利侵害に対するご依頼が可能です。弁護士によって取扱分野が異なる場合もございます。
A:本サイトから、又は直接弁護士に対してお問合せいただくことが可能です。
A:事案によりますが、依頼する場合は受任する弁護士(事務所)の規程に依ります。
A:日本では行政訴訟提起のハードルが高く、強制的不利益処分でない「要請」は争えないことや、社会での同調圧力の影響等の多層的な理由によるものと考えられます。
A:本サイトの問い合わせ先にメールにてご連絡下さい。電話相談は基本的に受けておりません。